第三者機関への届出範囲はどうあるべきか
―生存研医療政策研究会 試案―

はじめに
第三者機関への届出に関する意識調査
結果と考察
厚生労働省の流れ図に対する評価と提案

◎調査協力者からいただいた届出および第三者機関についてのご意見一覧

ご意見一覧 (文中の■は判読不明文字)

医師
仕組み、届出の適応がわかりません
看護師
病院の中で行われている投薬、処置、手術、また院内転倒、転落など多くの医療行為、院内管理は全て危険に満ちたものであり、結果が悪い方になった場合に、第三者機関とはいえ、届出の義務が発生すると、第三者機関がどの程度存在し、他人の行った医療行為を検閲する人材はどのくらい必要なのでしょう?新しい組織となるとかなりのcostも発生するでしょう。

同じ医療行為でも、都会の人手の揃った大病院で行われたものと、地方の人手の少ない厳しい環境で行われたものとでは、注意義務が同等なのかも疑問です。

我が国の医療制度、医療人材、医療資材の中で行われる医療行為を、完璧に安全に行うことなどそもそも難しいのです。高度化した医療の中で行われた“医療行為に基づく良くない結果”については、病院内でオープンに検討し、“ 常識” と考えられる範囲で患者さん側(本人または遺族)に納得していただければ、ことさらに第三者機関に届けなくてもよいのではないかと考えます。

すなわち第二者機関でも処理可能な事例は多いと思いますが如何でしょうか? 病院の中に医療安全や医療の質を判断するpositionを義務付け、そこに発生する人件費なども、病院の自腹ではなく、大枠の医療費としてかかるcostとする必要があります。
弁護士
司法の現場でも医師による鑑定は使われますが、率直に言って、医師同士のかばい合いがあって、使い方に難しい面があります。現場では、少しでもかばい合いを防ごうと、違う学閥から選ぶといったことも意識的に行われています。なので、制度的に独立性が認められることが重要に思えます。ただし、本件の目的は異常死の中から事件性のあるものを発見するということなので、違った側面があり、あくまで参考意見です。

判断の客観性・独立性担保の手段としては、
●あたりをつける段階(とりあえず疑いがあるか無いかを判断する段階。法的責任の有無等の精査前)では匿名で鑑定が行われること
→匿名でなくてもちゃんとやってほしいですが、このやり方がやり易いでしょう。ケース自体を匿名にし、かつ、鑑定の方も匿名にすれば大分良さそう。勿論、実際の司法の現場に行く段階では、顕名でやる必要があります。
●人員構成に偏りが無いこと(学閥やポジション(大学教授、研究者、勤務医、開業医、etc)のバランスに配慮した機関構成にすること。
→その意味では、常勤は難しいかもしれませんね。
●立場の異なる複数の医師によって鑑定が行われること。
●各判断について、後ほど検証できる制度を設けておくこと。故意に鑑定を歪めた場合には、適宜処分できるようにしておくこと。
といったことが挙げられるかと思います。 ただ、マンパワーの問題があるから、色々と厳しいでしょうね。 ざっと、感じたこと程度ですが。
内科医師
警察に届けるまでには及ばなくても、(原因が明らかなもの、明らかではないものに関わらず)再発を防ぎたい症例などにおいて、 よいと思います。
眼科医師
届出の基準を作成してほしい、できれば例などあげて示してほしい。
外科医師
線引きは必ずしも容易ではないと思うが 明らかな過誤は警察/過誤の可能性ないし一■過誤、and/or 遺族が納得していない場合は第三者機関とする。第三者機関は再発防止(航空事故調と同じ)目的に限定し、目的も方法も相容れない(医師)個人の責任追及とは切り離すべきと考える。
無過失補償制度は必須
■■
第三者機関の設立は、無用な警察介入を回避する点で、良いと思う。但しその要因が、どの機関から召集されたかは公開してほしい(特に前職場)。しかしそれでも、警察か第三者機関の、どちらに届けるかについては、現実的には難しいと感じた。私見ですが、警察届出は、非内因死(例、説12見舞いにきた家族に突き落とされた、等)の可能性がある場合と、明らかな医療ミスと考えられる場合に、限られると思う。アンケートを通じて感じたのは、現在問題になっている事例は、(私見では)通常は警察への届出は必要としないケースだということ。第三者機関への届出は、逆に現状よりも増加すると想像される。このシステムを導入することで最も恩恵をうけるのが、第三者機関だったという皮肉な結果にはならないでほしい。「診療関連死」の議論を活発化し、国民の理解を得られることが重要ではないか。「診療」には「死」は不可避なものとして、つきまとう。さらに「(皆無ではない)合併症」があるし、「(予測できない)急変」もある。遺族の納得が得られるよう調整する機関が、第三者機関であってほしい。
スポーツクリニック勤務
基本的にレスピーターをはずすような意図的な死亡医学は、医療ミス(業務上過失致死)疑いということで、第三者医療機関等で医療上どうであったかをまず検討してから(必要な場合ヘ警察の介入もその他に必要なことはあるかもしれないが)、基本的にはそこでカルテetcを保管して、明らかな問題があった場合のみ資料を警察等が調べる等、できるような方法が、医療現場の混乱を避けられると考える。

その場で逮捕などはもっての他だと思う。原因不明の場合は連携■?をしなければ、その行為が何らかの罰則にあたるのは仕方がないことではあろう。ということで全例届けをした方が安全だが、死亡症例が多すぎて第三者機関の対応の遅れ、病院もその対応に追われて診療に影響も大きく、病院側の原因究明、説明で患者さんの家族等に納得がいかない場合は届け出るのではどうでしょうか。その分公式にやむをえない内容、落ち度がない場合はこれを行使する権限がないと、そこから更に話し合い、もしくは訴訟になってしまいますが。
医師
個人を罰するための報告義務ではなく、あくまで医療過誤の防止策を講じたり、遺族、患者の救済を目的としたものでなくてはならない。入手した資料を法廷に提出しない。また、過誤を起こした本人、患者などが同定できないよう、個人情報への配慮が望まれる。もし、その情報に基づき、行政処分、刑事処分が行われるのであれば、死亡したり重篤な合併症を生じたりする可能性のある医療を担う医療従事者はいなくなる。治してあげたいという積極的な献身の気持ちは失せ、良心を失い、医師は最善でなくとも、保身の為に、リスクの少ない治療方法を選ぶことになる。その結果、医療は萎縮をきたし、患者、医療提供者の信頼関係は完全に崩れる。従って健全な気持ちで最善の医療を提供することが不可能になる。

そもそも人間は医療を提供する側もうける側も不完全であり、完璧な医療などあり得ない。人間は必ず間違いを起こす。医学には限界があり、医療は危険を伴う。医療は不確実であり、最善と思って治療を行ってもその結果死亡することもある。ということを広く国民に啓蒙することが優先されるべき事柄であると思われる。
泌尿器科医師
第三者機関(=医療事故調査期間)の仕組みに関して、医師個人や病院の罪や責任を課するための司法上の判決、判断よりも調査期間の調査、判断、勧告が常に独立、優先されるシステムを構築しなければならないと考えます。

但しこれには機関自体の人選がとても難しいと考えられ、一省庁である厚労省に一任するのも問題があると考えます。

航空機事故調査機関などはシステム自体すぐれていることが、以前より言われていますがどのような人選そして機関を設立しているのか参考にしてみるのもいいと考えます。
看護師
今回アンケートに回答し 知識不足を改めて感じました。医療従事者の一人として、このようなことにも適切な知識をもつ必要性を感じました。
看護師
医療関連死と過失疑いの2つの視点で事例を判断してみましたが、技量の熟達度と患者本人のもともと持ち得ている身体的リスクについては事例からは判断し難い部分もありました。

第三者機関については、患者の死に対して情動的な家族への対応は苦慮すると思いますが、医療機関とは全く関係性のない独立した機関であることが認知される必要があると思います。届出の範囲に関してはインフォームドコンセントの範囲であることが基本的な枠組みであり、症状の進行又は患者の身体的リスクの高さと説明がされている場合は除外されるのではないかと考えます。但し、医療機関より届出る場合、病院毎の判断基準によらない機関が提示する何らかの枠組みが必要ではないかと思います。
学生
死因、過失の有無が不明な場合、全て第三者機関に先ず届出るべき。第三者機関の調査によって診療行為や病院内の管理・運営システムにおいて過失が認められる際は、第三者機関が警察に届出をし、医師個人の責任追及へ移す。専門家の判断を介さずに医師、病院の処分は極力避けられるべきであると考える。
内科医師
事案の類型化作業、原因究明(医療政策のあり方迄も含め)、対策提言を主とする。処罰目的としない。刑事相当の案件についてはより慎重な作業プロセス構築を。

プロフェッショナリーオートミーを発揮させる社会的仕組みとして、弁護士法第8条と同格の職業的位置付けを医師にも適応する事。“ 医師は専門職” として「医師会(仮称)」に全員加入(■登録?)→その上で医業を行うこと。
大学研究者
届出をするか否かについて極力主観が排され、客観的基準に従って「自動的」に届出がなされるようなシステムが必要と考えます。

届出の範囲について患者・家族に予め伝えておく必要もあるでしょう。
泌尿器科医師
専門医が必ずメンバーに加わること、届出は疑わしき歯は届けるということでいいのではないか。納得がいかない死亡であれば届出することで、患者側、医療側の相方が救われるようになって欲しい。病院側にもう少し人的資源が豊富に抱えられるようになることが先決かもしれない。

本研究班の活動に共感するとともに、大きな期待を持ちました。
医師
1. 病院内でお互いに納得したケースは院内で。
2. 家族に不満、不信があれば第三者機関へ。
3. 院内スタッフでは不適と考えられるケースは最初から第三者へ。
4. 事件性のあるものは警察へ。
医師
届出を全例第三者にし、トリアージするというのは現実的に不可能と思います。割検することを前提にすれば判断に要する時間は限られていること、ほぼ全ての死亡について判断するだけの組織の規模は考えにくいと思います。病院内で判断して必要な場合に第三者に届出ること、別途患者さん内部告発をうけつけるべきだと考えます。
医師
刑事事件ととらえるかどうかの判別と別に、過失のレベルが低い事例でも全く問題がないことを公式記録として(当事者の解釈が入らない形で)残すことは先々に問題化させないためにも必要で、その意味では範囲をかなり拡げる必要があると考えます。
医師
advanced eventに関しては全て届ける
学生
まず第三者機関の目的を明確にすべきだと思う。「真相究明」なのか「再発防止」なのか、「被害者救済」なのかによって届出の範囲、主体、罰則等変化してくるはずだ。第三者機関の議論をする前に、機関の目的に対する合意がなければ、議論がかみ合わないのではないだろうか。
匿名
医療現場での解決能力を作る必要がある。第三者機関へ持ち出すのではなく第三者が現場に入って解決して欲しい。医療現場の自浄能力を育てることが先のように思う。
医師
まだ実態が明確になっていないようであるが、その定義次第で、「神にも悪魔にもなりうる」ものだと思う。
看護師
(現在何でもかんでも警察に届けなければならない現状が■った時に沢山の届け出がでてこの機関はパンクしそうである。)
各病院の院内医療事故調査委員会に院外者の委員が確実にはいり、公平性、透明性、中立性が担保されれば、第三者機関へ何でもかんでも届けでる必要はなくなると思う。
医師
異常死ではなく病院内死亡例すべてを無条件にとどけでるようにしてはどうか(現在のマンパワー、資金では不可能と思われるが。)
医師
第三者機関は早急に設立が必要で、少しでも早く結果がだせる様、厚労省が中心になって組織されてもよい、早く進むことが大事。ただしその評価を行うのは専門家としての医療者でなければならない。

届出の範囲は「予期せぬ医療関連死及びその疑いのあるもの」であり、医療と関係ないものは医療機関で生じても警察へ届けるべきと思う。
医師
届出事例は真相の解明が必要なものに限定。すべての死亡事例を報告するのは別のシステム。
仕組はPier Reviewとすべきだが、法律家や市民の参加も必要
民間団体
第三者機関の設立は必須である。事故、過失に対して当該医療機関が第三者と加えて、しっかりとやること、医療機関自らの自浄能力、作用の向上が必要。医療の立会、質向上を目指すためには届け件数は多い程よい、分析が必要だが…
司法修習生・医師
1. 目的が安全対策ならば届出範囲は拡大せざるを得ない。
評価委員:Drのみ 刑事への転用:×
2. 目的が責任追及ならば各Hpでの判断に不満があった場合で足る
評価委員:Dr. + Pt. + Lawyer etc 刑事への転用:○
現行案はどちらの為のものか不明。性質上玉虫色はありえない。
麻酔科医師
「中立」「透明性」はプロフェッショナルオートノミーの本質ではない。医師団体が自らの組織原理として、「不良会員の排除」「質向上、安全性向上」にコミットするのがオートノミーであると思う。その意味では「第三者」ではなく「当事者」であるべき。

「職業裁判」であれば、三審制で被告の権利が守られるが、新しいスキームは(事実上)一回の審理で白黒つけられる。これはどうかと思う。
医師
現在、内部調査で原因(過失を含み)を、患者・家族に全て伝えることを行っている。患者・家族が刑事告訴の意志を確認して、手続きを手助けしている。過失における責任については、書面で記述したものを渡して、話合いを継続している。原因究明のための調査機関は、必須と考えるが、対象を死亡例と限定し、補償制度に及ばない枠組の中で進められていることに不安を感じる。

本提案の第三者機関の目的が、「医療安全だ」と言い放つ雑な事では不安だ。もっと絞り込んで欲しいものです。例えば「死亡の究明に限定する」など
教員
透明性と人材確保が第三者機関の成否を決めると思う。病院の第一の責任は議論にあったように、忘れてはならないだろう。患者の信頼をどう得るか疑問も残るが。第三者機関は必要と思います。
産婦人科医
・遺族・法律家については心配します。法律家なら医師免許も持っている人に原因不明例を届けさせよ
医師
院内での調査結果をふまえて届出の可否を決定する
医師
原因究明と遺族対応のシステムを別にし 後者にはmediatorの役割をもたせる。届出には遺族の了解を前提とする。
医師
医科研上先生のグループの主張ってどんなものなのでしょうか? (個人的には彼らは第三者機関を他者として扱っておられ、本シンポジウムでは第三者機関を自分たちで作りあげるものという認識をもっておられるところと感じました)
医師
異常死の定義が法律的にないとはいえ届出はなるべくすべき。院長〜中堅医師にも教育しないと・・・。早く作ってほしいとも思うが問題もあるとわかる。役人もパネリストに呼んでもっと議論してどんな仕組みがベストかはっきりさせていくべき。
医師
1. 全死亡例
2. 患者キーパーソンに届出についてまかせる→報告
3. 評価・■■の■■■がどのように■れるか?→生物■■?が必要か
看護師
現在のモデル病棟に届けようとは思わない。受理判断を待たなければいけないため。今度、立ち上げる事故調査委員会には届ければ初期判断が保たれると考えるので届けた方がよいと思う。しかし、届出が多すぎという現象が出てくると思うのでどのような場合は届けるという範囲規定が必要と思う。
心臓外科医
厚労省から独立したもの。専門医が主体で構成されたもの。(患者・国民の代表・弁護士、司法の代表も構成員とする)刑事訴追は限りなく 嫌仰的であるべきだ。審議内容は刑事訴訟に使用すべきではないと考える。
研究者
第三者機関について十分な知識を持ってない
弁護士
原因究明には公の予算の増大が必要で、国会議員を巻き込む必要があります。 又届出は医療機関だけでなく患者遺族からも届出られるようにすべき
医療従事者
届出ですが、今は医師の判断ですので、片寄りがあるように思います。
医師
第三者機関については病理医、法医が絶対的に足りないので、実現できるか。第三者機関ができることには賛成。
医師
届出ることでどのくらいの時間や、労力が必要なのか(我々に)によるのでは? あまり大変(煩雑)でないなら私は小児科医なので、積極的に届出て、冷静な第三者として意見を家族に伝えてほしい。
医師
設問でも、説明や同意の程度がないものもあり、判断しにくい。この部分は大切!予期せぬものは第三者、予期しても説明されていなければ患者は納得させられないので第三者へ 専門的になりすぎないgeneral physicianが納得できるものは届出の対象とならない。
医師
自分の理解では、明らかに間違った医療行為に起因する死亡と、異常死(原因が明らかでないもの)に関しては死体検案の適応と考え届け出るべきと考えます。それでなければ死亡以外の事例も誤った医療行為による傷害として警察に届け出ることになるのでしょうか。線引きが難しいと思いますが、何でも警察に届出て、たい補されてしまうのでは医療は成り立ちません。
医師
「不確実性の科学」(W. osler)である医療行為を裁くことに医学関係者が介入することには賛成。但し司法も医療も未だにどうするべきか理解できていない状況であり、現状はあくまで試行段階であり法制化などの実用には機が熟していないと思います。
医師
中途半端な制度を作らず、すべての死亡について検討すべき。 ただし、そのためのcost、労力をどのように確保できるか論議する必要あり

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